森美智代さんの「おうち断食」で不調を正す

1日一杯の青汁と3種類のサプリだけで20年以上健康に暮らしていらっしゃる森美智代さん。彼女が西式・甲田療法により試行錯誤の末克服した難病、脊髄小脳変性症。

食べ過ぎが原因で起こる病気には、ガン、糖尿病、高血圧、高コレステロール血症、アレルギー性疾患、膠原病、目や鼻の病気、虫歯や歯周病などがあるといわれています。また、肥満、便秘、肌荒れ、疲れやすい、風邪をひきやすいといった根本的には生活習慣が引き起こしたものも、食べ過ぎが関係しているといえるようです。

その断食方法や酵素を活かした生菜食を日常的に食べるという方法は、現代の原因が分からなかったり根本的に治せなかったりする慢性疾患の症状を緩和したり完治するのに役立つ方法の一つではないかと思います。

ただし、医師や断食指導者のもとではなく、「おうち断食」を行うことができるのは、重篤な病気を抱えていない人で、「断食の作法」を守った上で行う短期間の断食に限られます。

薬を服用中の人、胃腸が弱い人、消化器系の癌や脳腫瘍の人、結核などで療養中の人、妊娠中の人、生理中の人などは、おうち断食をしない方がいい人に該当します。まずは主治医にご相談ください。

森美智代さんの「おうち断食」とは、何も食べない断食ではなく、目的や体質に合わせたメニューを摂取しながら行う方法です。

断食方法

前日は普通に食事をして大丈夫ですが、あっさりしたものを適度に食べる方がなお良いです。
当日の朝食は抜きます。
昼食と夕食には、以下の3つの断食メニューからどれかを選んで行います。
翌日も前日同様、普通の食事ができます。これも適度な食事がベター。

すまし汁断食

適度な塩分を接種しながら行う断食で、低血糖になりにくく、また、腸が動きやすく、デトックスしたい人におすすめな方法です。

●材料 (1食分)
だし昆布 10g
干しシイタケ 10g
水 3合(540ml)
醤油 10ml
黒砂糖かハチミツ 30g

●作り方
1.だし昆布と干しシイタケを水に入れて数時間置く
2.1を火にかけ、沸騰直前に昆布とシイタケを取り出す
3.醤油とお好みで砂糖かハチミツを加えて混ぜる
4.これを一食分として、昼食と夕食に熱いうちに飲む

寒天断食

腸に癒着のある人、腸閉塞や腸ねん転、子宮内膜症の人にもおすすめの断食方法になります。

●材料(1食分)
棒寒天 1本半(粉寒天の場合は10g)
水 3合(540ml)
黒砂糖かハチミツ 30g
自然塩 5g

●作り方
1.鍋に水とちぎった棒寒天または粉寒天を入れてふやかす
2.1を火にかけ、混ぜながら煮溶かす
3.2合半(450ml)まで煮詰まったら、お好みで黒砂糖かハチミツ、塩を加える
4.これを1食分として、昼食と夕食に熱いうちに飲む。
  もしくは、冷やし固めて食べる
※ 個人的には、味を付けずに冷やし固め、食べるときに黒蜜をかけ、塩分の補給に梅干しを一粒食べるのが食べやすいです。塩分の目安は、1日7~10gです。

りんご断食

おやつ感覚で子供でも楽しみながらできる断食方法の一つです。塩分の補給に少量の塩をかけると良いそうです。私は梅干しを一粒食べるようにしています。

●材料(1食分)
中~大サイズのりんご 1個半(約300g)

●作り方
1.りんごの皮をむき、すりおろす(無農薬であれば皮ごと)
2.これを1食分として、昼食と夕食に食べる(胃腸が丈夫な人はすりおろさなくても大丈夫)

この他に、水またはビタミンCの多い柿の葉茶を1日1.5~2リットル飲みます。消化液を薄めないために、食前30分から食後2~3時間は、水分の接種を控えます。

森さんがオススメするものに、腸の傷を修復しながら宿便の排出を助ける、海水成分でできた水酸化マグネシウムがあります。「ミルマグ」という商品名で、起床時と就寝時に20mlを180mlの水で薄めて飲みます。(便の調子によって適宜使用します)


ミルマグ3本【第3類医薬品】/スイマグエース →ミルマグに取り扱いが変更となりました。

個人的には、連続は飽きてしまうので、3種類を一つずつ昼と夜に食べたりしています。
また、森美智代さんの方法にもう一つ、船瀬俊介さんの本にある西式断食法の1日断食の食べ方を取り入れています。それは、朝昼晩に梅干し一粒づつと夜にきゅうり、セロリ、大根などの生野菜に味噌を付けて食べるというものです。あとは水を飲むだけですが、これも適宜好きなお茶に換えて楽しんでいます。

ここで重要なのは、梅干しや塩、水の選び方です。梅干しは、原材料が、梅、自然塩、しそのみで干して作られているものを選ぶようにしましょう。体を主に構成する水や塩は、摂取するものがとても大事です。水道水をそのまま飲むのは避け、浄水器やこだわった水を摂取しましょう。塩も精製塩は避け、塩分含有量のなるべく少ない自然塩にしましょう。昔ながらの方法で焚いた平釜製法や自然に乾かした昆布塩などがあります。

ここで、個人的に塩の味わいが好みだった美味しい塩をご紹介します。

●楽塩
鹿児島県佐多岬の塩で、100gあたりの塩分含有量が82.2gでミネラルたっぷりです。味の良さが個人的にベストでした。


【送料無料】塩「楽塩」100gx4パック 窯焚き塩 佐多岬 黒潮

●屋我地島の塩
鉄製の平釜で焚き、乾燥させたピンク色の塩は、鉄分が豊富で、ミネラル含有量も高く、うまみたっぷりの塩です。

●もずくしお
沖縄県勝連産のもずくをミキサーにかけて作られる「もずくしお」は、もずくの出汁がほのかに香る、旨みのある塩です。さらさらしているので、小さいボトルに詰め替え、携帯してお弁当や外食時に重宝します。

●雪塩
100gあたりの食塩含有量が72.6gで、類を見ないミネラルの多さです。ミネラルの種類も14種類に及びます。製法が独特で、ふわりとした食感で、塩分含有量が非常に少ないため、やわらかな味わいが印象的です。

生菜食

生のものだけを食べる食事療法です。煮炊きしたものよりも、植物が持つ「生命力」がそのまま維持されているという観点から、甲田療法では断食とともに重要な柱になっています。

元々生菜食とは、仙人食をまねたもので、病気を治すためのものではなかったそうです。東洋思想・哲学の中に、不老長寿の仙人になることを目指す仙道という学問があり、陰陽五行論、気血論などに基づいて、1日1食や生の野草を食べるなどの限りなく食事を減らしていく修行が含まれていました。日本の山岳宗教にも、山の中を不眠不食で歩き続ける修行があり、その中に野草のみを食べて生き抜くという仙道が伝えられているそうです。中国の気功も仙道の中の一つです。

陰陽五行論で「気」とは、目に見えない、心・魂・生命力・宇宙のエネルギーを指し、「血」とは、目で見て触ることができる(物質)、人間の肉体の総称を指します。

生き物はみな「気血」からできており、少食になればなるほど、宇宙からのエネルギーを自然にたくさん受けられるような体になる、そのような仙人になることを目指してみな修行しています。

森さんが行う「鍼」も、「気」を動かすものです。断食を行うと気の流れが速くなり、五感が鋭くなるようです。

森さんが鍼灸師を目指したきっかけとなったS先生は、7回も事故に合い失明し、何度も自殺を試みたが失敗し、「死のうと思っても死ねなかった。生きようと思っても生きられない人もいる。これは本人の希望じゃないなあ。僕に活かされる何かがあるなら生きよう」と思い直し、テープや点字で勉強して鍼灸師になられたそうです。今、自分が生かされている意味を考える機会の多いこの時代に、とても深い言葉だなと思いました。

生菜食<1食分:昼食と夕食に食べる>
●ほうれん草、キャベツ、レタスなど季節の葉野菜を5種類以上(計250g)をミキサーにかけたもの。場合によりりんごまたはハチミツなどを加えたもの。
●人参(120g)、大根(100g)、山芋(30g)など根菜のすりおろし(計250g)にレモン汁適宜。
※人参に含まれるビタミンC破壊酵素を不活性化させるために、酢や酸を垂らしてから他の野菜と混ぜます。もしくは、人参だけ別にして人参ジュースとします。
●生の玄米粉(80~100g)、豆腐(200g)に自然塩5gを入れて食べる
●生水または柿の葉茶を1日に1~1.5リットル
●宿便排出用に、朝起きてすぐ、水酸化マグネシウム(ミルマグ)を10ml、1合の水に溶いて飲みます(体調に合わせて)

西式健康法の体操

森さんが行った合宿では、断食や小食療法に合わせて「背腹運動」「毛管運動」「金魚運動」などの西式健康法や裸療法、温冷水浴などを行っています。詳しい体操法などは下記の書籍より参考にしてください。運動は食事と同等に大事なので、まずはヨーガやストレッチ、筋トレなど日々積極的に行うことをおすすめします。

食前のお祈り「五観の偈」(ごかんのげ)

朝食を抜いた後の食事など、普段よりがっついてしまいがちなところを、一度気持ちを落ち着かせるという意味でも、食事前に唱えて、より厳かな気持ちで食事をいただくことをおすすめします。

「五観の偈」とは、道元禅師が「赴粥飯法(ふしゅくはんぽう)」に記している、主に禅宗の僧侶が食前に唱える偈文(仏の功徳を褒めたたえる詩句)のことです。

五観の偈
1.功(こう)の多少を計り、彼(か)の来処(らいしょ)を量る
(この食事がどうしてできたのかを考え、食事が調うまでの多くの人々の働きに感謝をいたします)
2.己(おの)が徳行(とくぎょう)の全欠(ぜんけつ)を忖(はか)って、供(く)に応ず
(自分の行いが、この職をいただくことに価するものであるかどうかを反省します)
3.心(しん)を防ぎ過(とが)を離るることは貪等(どんとう)を宗(しゅう)とす
(心を正しく保ち、誤った行いを避ける為に、「貪(とん:むさぼり)・瞋(しん:いかり)・痴(ち:真理に対する無知の心、おろかさ)」の三毒の過ちを持たないことを誓います)
4.正(まさ)に良薬を事(こと)とするは、形枯(ぎょうこ)を療(りょう)ぜんがためなり
(食とは良薬であり、体を養い、正しい健康を得るためにいただくのです)
5.成道(じょうどう)の為の故に今この食(じき)を受(う)く
(いまこの食事をいただくのは、己の道を成し遂げる為です)

食事の作法「小笠原流礼法」

昔のお殿様や十二単を着たお姫様は、箸先でごく少量の食べ物をつまみ、大きな口を開けたり歯や舌を見せたりせずに、おちょぼ口で吸うように食べる、「小笠原流礼法」で食事をいただいていました。

食べ物を口に入れたら、一旦箸を置き、手も膝に置いて、ゆっくり噛んでから飲み込みます。よく噛むと唾液が出て、消化にもいいです。

断食中のすまし汁や寒天から普段の食事まで、習慣化すると尚良いです。

断食と生菜食で得られる効果

森さんの場合

・頭がクリアになり、短い睡眠時間(3~4時間)でも元気。
・3日もやれば、肌もつやつやに。
・冷え性や慢性頭痛がなくなる。
・食事の大幅の変化にもかかわらず、貧血、骨の老化、生理、排便(1日に3~5回)等に変化なし。

「小食のメカニズム」を知るために森さんや数人のデータを専門機関で調べて分かったこと
・腸内細菌が草食動物に近い細菌構成になっていた
・アンモニアから作られる尿素を栄養源としている
・飢餓状態で現れる尿中のケトン体が「強陽性」であるが、ケトーシスを起こしてはいない
・基礎代謝量は同年代の女性のマイナス43%(5人平均で40%の減少)
・免疫力を示すインターフェロンαが普通の4倍以上
・たんぱく質摂取量が少ないにもかかわらず、アルブミン濃度が低下していない
・エネルギー・たんぱく質・鉄の摂取量も非常に少ないのに、ヘモグロビン濃度が基準値内

免疫学の権威、安保徹先生は、マクロファージ(病原体などの異物を食作用で処理する免疫細胞)は、私たちが摂った食物の栄養処理も引き受けているため、大食や過食を続けると免疫力が落ちやすいと述べられています。

断食と生菜食の我が家での効果

家族が幼少期からのひどいアレルギー性鼻炎持ちで、慢性副鼻腔炎で、鼻づまりによる睡眠時無呼吸症候群だったのが、添加物に気を付けたり食事法の改善により鼻づまりはなくなり、嗅覚が復活しましたが、まだ後鼻漏による喘息が続いていました。喘息が年々ひどくなっているようなので、森さんの「おうち断食」を試したところ、1日断食を2回ほど4日間のうちにやった4日後には、すでに咳が2~3割くらいまで減っていました。1日断食の日は、朝抜き、昼と夜は梅干し1粒と、寒天または野菜スティックと味噌といった食事です。断食をしない日も朝は抜き、昼と夜は、生野菜を一定量含む普通の食事(以前よりは量が少なめ。体がバカ食いができなくなった。)を作りながら時にはこだわらない外食も楽しんでいます。

食養生については、「一物全体(いちぶつぜんたい)」という、丸ごと食べることによって、その物の持つ恵み(栄養)が十分に享受できる、という考え方があり、玄米や胚芽精米、黒糖、チリメンジャコやメザシなどを選ぶようにしています。

思いがけぬ目に見えない効果

森さんが行った高校卒業後の2度目の本断食5日間では、断食中にオーラが見え始めたそうです。甲田先生や他の人、畑に育つ野菜にも、まわりに光が見え始めたそうです。みな日によって光の強さが違ったり、断食中に光が強くなる人がいたりしたそうです。

甲田医院の合宿で行った「40分合唱行(がっしょうぎょう)」により、「手当て」によるヒーリング力がついたそうです。「40分合唱行」とは、裸足で正座し、手の中指は第二関節、他の指は第一関節までつけて両手を合わせ、肩より下に手が落ちないようにして40分合唱するものです。雑念を入れないために、般若心経を詠みながら行います。誰でもこれを行うとある程度「手当て」ができるようになるそうです。

鍼灸師になる1年前、勝手に手が動き出し、自動書記ができるようになったそうです。そのことによりサンスターの研究者が脳波を調べたところ、αⅡ派(ミッドα波)という特殊な脳波が出ていたそうです。ミッドα波は、心と体がリラックスしながらも意識集中ができており、頭脳が冴えて、思考やひらめきに最適な、さまざまな能力が発揮できる状態とされています。

自動書記につながる、森さんが神様と交信しているということを教えてくれたH先生が実は審神:さにわ(巫女などの霊能者を見て、その人についているのがいい神様か悪い邪霊や動物霊かを見分け、いい神様なら残しておき、邪霊などなら除霊する役割の人)だったようで、そのとき森さんについている神様はいい神様だから大丈夫と言ってくれたそうです。また、ついている神様は、その人の心の段階によって決まるそうで、いい神様にも邪霊にもいつでも変わり得るというところが肝心ですね。

森さんの名言

「つらい出来事や逆境は、私たちを苦しめるだけのものではない。自分の中の弱さより、自由で強い所に目を向けてみましょう」
ついつい短所を克服しないとと考えがちなのですが、「自由で強い所」という着眼点がポジティブで素晴らしい考え方だと思います。

森さんの好きな詩
「病まなければ」 河野進
病まなければ ささげ得ない祈りがある
病まなければ 信じえない奇跡がある
病まなければ 聞き得ない御言葉がある
病まなければ 近づき得ない聖所がある
病まなければ 仰ぎ得ない御顔がある
おお 病まなければ
私は人間でさえもあり得なかった

参考資料

タイトルとURLをコピーしました